花鳥使のこだわり

その1「BMS8~12格付け+目利き」

肉質・歩留り等級

 皆さんご存知の国産黒毛和牛の最高格付けA5。このA5は、ABCの三段階に評価される歩留り等級、5~1の五段階に評価される肉質等級の両方において最高の評価をうけた牛肉に与えられます。

 しかしこの最高格付けA5は、霜降り具合を評価するBMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)規格において、更に5段階に区分されている事はあまり知られていません。BMSは1番~12番の12段階評価となります。最高は12番です。A5はBMS評価の8番以上です。同じA5評価でも、BMS8番とBMS12番の牛肉では天と地ほどの品質の違いがあります。

 一般にBMS10番以上がプロも認める本物の極上品と言えるでしょう。そしてBMS11番を超える牛肉は、極一部の高級飲食店や高級宿泊施設で消費され、一般市場にはほとんど出回ることはありません。BMS11番を超える牛肉の希少性は尋常ではなく、BMS12番の出現率は、黒毛和牛数万頭に1頭と言われているそうです。

 しかし、これらの評価はあくまでも「見た目」の評価であり、「美味さ」の評価ではありません。美味しさの評価基準はまだ確立されていません。 霜降りが控えめでも美味しいお肉は沢山あります。しかし霜降りの美しいお肉は、私にとっては大きな魅力です。

 花鳥使では、BMS11番上の以牛肉の中から、長年の経験により美味しい牛肉を選び抜いて仕入れを行っています。「美しさ」と「美味しさ」を兼ね備えたお肉をご提供したいと考えています。

資料画像出典:
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-1-2NCO神田淡路町二階
公益社団法人 日本食肉格付協会

It is well known that Wagyu’s highest grade is A5. This grade, A5, is only bestowed to the finest beef in the qualification of Yield Grade and Quality grade.

However, it is not known that this highest grade A5 is furthermore classified into 5 grades according to its quality of marbling, which is referred as BMS (Beef marbling Standard)

BMF is graded from 1 to 12. The highest grade is 12. A5 should have the BMS grade higher than 8. There is a huge difference between A5 with BMS 8 and A5 with BMS 12.

Generally speaking, A5 beef with BMS more than 10 is regarded as the finest beef. A5 beef with BMS more than 11 is consumed only in a few high-class restaurants or hotels. We can rarely find it general market. The beef with BMS 11 is so rare since the one appears only out of tens of thousands of black haired Japanese cows.

This grading is not describing the taste but the looks of the beef. There is no standard to grade the taste, but it is true that the higher the grade of beef is, the more delicious it is.
In kachoshi, we treat only the finest A5 beef with BMS 11, selecting carefully with the deep knowledge and long-time experience. The beef we serve at Kachoshi has both the beauty of the look and the finest taste.

その2「ブランドには拘らない」

黒毛和牛

 黒毛和牛の日本三大ブランドと言えば「神戸ビーフ」、「松阪牛」、「近江牛、又は米沢牛」です。特に、「神戸ビーフ」、「松阪牛」はその知名度から、海外では高級牛肉の代名詞となっています。しかし、「神戸ビーフ」、「松阪牛」も日本に200前後あると言われている黒毛和牛のブランド中の一つなのです。各ブランドには、それぞれそのブランドを冠する為の基準があります。これをブランド定義と言います。ブランド定義には、格付け、性別、肥育期間、肥育場所、生産された場所などの基準が有ります。中には血統を基準に含めるブランドもあります。

 ブランドごとにこれらの基準を組み合わせたり、格付けや肥育期間の基準を厳しくしたり、甘くしたりして、ブランドの特徴を出そうとしています。 どんなブランドでも、まず格付け、そしてブランド認定という順序をたどります。 格付けありきのブランドなのです。

 A5 BM12と評価されれば、ブランドに関係なくその牛の見た目の評価は最高であるということになります。

当店では、牛肉を仕入れる際、ブランドは重要視しません。重要視するのは品質のみです。ブランドが何であれ、価格がどうであれ、品質のみにこだわり仕入れをいたします。

とにかく品質さえ良ければ、どんなブランドの牛肉でも仕入れるのが当店のスタンスであり、拘りでもあります。

私の仕入れの際の基準の中にブランド名という項目はありません。

Quality is the top priority over brand names

The most famous Wagyu brands are Kobe beef, Matsuzaka beef and Oumi beef or Yonezawa beef. Kobe beef and Matsuzaka beef is so famous that their names represent all kinds of Wagyu overseas.
However, Kobe beef and Matsuzaka beef are just two out of about 200 Wagyu brands.

Each beef has some standards to bear the brand name. It is called the definition of the brand name. It has the qualification of the beef of the meat grade, sex, the length of the fattening period, the location and so on. Some standards include the lineage of the beef.

Producers are trying to combine these standards or making the standard of the grading and fattening period strict or lenient in order to create the clear features of the brand beef.

Any brad beef have to be graded first, and admitted as a brand beef later. Grading comes first, having brand name second.

The A5 beef with BMS 12 should be truly the best quality beef regardless of the brand name.

Kachoshi value the quality of the beef above the brand name or the price of the beef. As long as the quality of the beef is fine, we purchase it regardless of the brand name

その3「ネットワークが財産」

 花鳥使は全国各地の問屋さんとお取引をさせていただいています。それぞれの問屋さんから情報をいただき、その時点で可能な限り良い牛肉を仕入れられる体制を整えています。

 花鳥使の求める牛肉はBMS11番以上です。しかも店主の目にかなう牛肉でなければなりません。そのような牛肉を揃えるために、最高ランクの牛肉を取り扱う問屋さん数社とお取引をさせていただいています。各問屋さんとの定期的な情報交換をすることにより、花鳥使品質の維持が可能となっています。この問屋さんとの繋がりこそが、花鳥使の生命線であり財産なのです。

その4「好みの牛は美味い」

黒毛和牛

 いかに最高評価の牛肉だからと言って絶対にうまいとは限りません。

A5の牛肉よりA4の牛肉の方が美味しい事は、普通にあります。残念ながら牛肉のおいしさは、数字では表せません。最近では牛肉の旨味成分の一つであるオレイン酸の量を計測して、消費者にアピールし始めているブランドもありますが、そう言う取り組みも、いまだ主流にはなっていません。

 美味い牛肉を見分けるには、どうしても仕入れる者の経験に頼るところが大きくなります。お肉の締まり具合、脂の色や質感、肉色、体形、脂肪のカミ具合、その他色々。これらが、美味い牛肉を見極める手がかり、「指標」になります。そしてその指標が、私の「好み」に置き換わってゆきました。いちいち各指標を精査しなくても、見た瞬間、頭の中でひらめくのです。

この牛は「好きだ」、「嫌いだ」と。

無意識のうちに各指標を精査してしまうのだと思います。判断に迷ったときのみ、改めて各指標を精査しなおします。

この「好み」にかなった牛は、かなりの確率で美味いのです。百発百中ではありませんが、かなりの的中率です。

My intuition to tell tasty beef

The highest grade beef does not always have the best taste. It often happens that A4 beef is more delicious than A5 beef. Unfortunately, the taste cannot describe in numbers. Some company is trying to describe it using the amount of oleic acid the beef contains, which is one of the palatable components of food, to attract consumers interest. Such movement is, however, yet to be widely known to everyone.

In order to purchase the tasty beef, we have to rely on our experience a lot. How firm the meat is, the color of the fat and meet, texture, shape, the feature of the marbling, and so on… these are the clues to find the fine beef. Selecting and finding best beef for a long time, I now can judge the beef according to my intuition and preference. I am attracted to the best beef reflexively only at the first sight among various kinds. Only when I cannot decide which is the best, I checked these standards. The hitting ratio of my intuition is, proudly saying, quite high.

その5「枝買い、セット買い出来ない(苦笑)」

黒毛和牛

 高品質の牛肉を極力安く購入するには、「セット買い」「枝買い」することが一番です。牛は屠畜され、枝肉と言われる状態になります。

 左右の枝肉を合わせて1頭分になります。枝肉を脱骨して、部位(パーツ)ごとに分割し、真空包装処理します。1頭分のパーツが集まったものをセットと言います。

 基本的に問屋さんから小売店への牛肉の販売は、主にセット販売になります。しかし、セットになると高額になり、販売しづらくなります。そのような場合には、セットをばらし、各部位ごとにパーツ販売することになります。他の部位の売れ残りリスクの為、単価はかなり割高です.。

 良い牛程、売れ残りリスクの無い、セット販売となってしまいます。販売力のある小売店は、セット仕入した方が割安に、しかも優先的に良い物を仕入れられる事になります。販売量の多い店舗にとってはベストの仕入れ形態だと思います。

 しかしセット仕入には、欠点も存在します。枝肉の格付けは第6番目の肋骨をカットしてその断面で判断されます。この断面はリブロースと肩ロースの境界になります。このロース断面がA5と評価されると、その枝肉はA5となります。ロース断面がA5であっても他の部位がA5レベルに至らないことは普通にあります。たとえばモモ肉がA4相当と言った場合です。例えA5と評価されても、頭の先から足の先まで全ての部位が高品質なことは本当にまれなのです。

 この様なリスクを避けるためには、パーツ仕入れが最適です。最高評価の複数の牛から、最高のロースだけを、最高のモモ肉だけを選りすぐるのです。コストはかなり割高になりますが、確実な仕入れ方法です。

販売量の少ない花鳥使ではそもそもセット仕入はできませんし、セット仕入のリスクは絶対に負いたくありません。

おのずとパーツ仕入れとなりますが、結果的に当店にとって最高の仕入れ方法だと考えています。 販売量が増えてもセット仕入はしないでしょう。

その6「大吟醸」

霜降り肉

 本来牛肉の旨味は脂肪に由来するところが大きく、ステーキカットにしろ、焼肉カットにしろ、お肉の周りには大なり小なり脂肪がついているのが普通です。赤身の多いお肉では、この脂肪で旨味を補っています。

 当店のお肉は、霜降り肉は無論の事、赤身肉に至るまで見事な霜降りが入っています。この霜降りは、見た目の美しさだけでなく、口に入れた際に、旨味と口溶け感をもたらしてくれます。それ以上旨味である脂肪を加味する必要がない為、当店では、お肉の周りの脂肪は全て取り除きます。

 お肉の周りの脂肪を削ぎ取る事は、直接利益率の低下につながります。いくら利益が減ろうと、理想の形でお客様にお肉を楽しんでいただくために、お肉をとことん磨き込んでいます。日本酒に例えるならまさに大吟醸。 余計なものを全て排除したいマスターの拘りです。

The good taste of beef is created largely from the fat. Beef stakes, Yakiniku (grilled beef), Sukiyaki… almost all beef bear fat in any kind of dish. Lean red meat is supplemented by fat to make the taste preferable.

In kachoshi, not only marbling beef, but also red meat has beautiful fat marbling. Thanks to this marbling, you will feel the tenderness and rich flavor of the beef when you put it in your mouth.

I take other fat surrounding the beef away since the fat creating marbling in the beef is enough for its flavor. Taking extra fat away from the beef ends up to raising a cost price rate… it is not profitable. No matter how high the cost price becomes, however, I would like to serve the customers the best part of the beef. The purely tasty part of the beef will surely make customers satisfied and happy… this is my philosophy and motto.

その7「メスの方が美味いのか」

 一般に牛肉は去勢より牝の方が美味いと言われています。しかしそれは正しいのでしょうか。
牝、去勢それぞれ味の特徴があることは間違いないと思います。しかしそれは、特徴であって美味さの優劣ではないと思います。
美味い、不味いは食べる方の好みによって変わります。

 他人が、これが美味い、これは不味いと言っても当てにはなりません。重要なのは自分がどう感じるかです。
そもそもメス牛が美味いと言われる理由の一つに、脂肪の融点の低さがあげられます。
脂肪の溶けだす温度が、メスの方が去勢より低いと言われています。融点が低いほど口に入れたときにすぐに溶け去り、スッキリします。

 もう一つは各種旨味成分がメス牛の方が多い点です。その通りだと思いますが、やはりすべての牝がすべての去勢を上回るものではありません。

当店では、メス牛、去勢に拘りがありません。牝牛の方が美味いことが多いとは思いますが、去勢でも、美味い牛は沢山います。
メス牛が美味いと言われる理由は認識していますが、牛は生き物です。個体差があって当然です。メスを凌駕する去勢も数多く存在します。

 しかし、最高の牝牛に適う去勢は居ないのも事実だと思います。
あえて言うなら、「メスの方が美味しいことが多い」の方が正しいような気がします。

 ちなみに、店主は、ロースとカルビは牝牛、ヒレと赤身肉は去勢が好みです。
皆さん、牝牛、去勢食べ比べて、ご自分の好みを見つけてください。
ご自分が美味いと思うものが美味しいのです。ご自分が美味いと思えることが大事だと思います。

その8「半農半焼肉屋」

自家栽培のお米と女子畑米のブレンド米

 いわゆる「半農半X」と言われるものです。農業で生計の半分を賄い、残りの半分を自分のやりたいことで賄うという考え方です。私の場合は「半農半焼肉屋」ということになります。

 この「半農半X」という言葉を知ったのは今の商売を始めた後です。漠然とですが農業をしながらの生活にあこがれを持っていましたが、この言葉を聞いた瞬間これだと直感しました。

 商売の傍ら、友人たちとはじめた無農薬無肥料のコメ作りは5年目を迎えます。お店の裏には200坪ほどの畑があります。こちらも無農薬無肥料の自然農法です。残念ながら農業の技術は今一歩で、思うような収穫は上がっていません。しかし、毎年ジャガイモだけは大量に収穫できるようになりました。収穫時期の7月以降は、当店で販売して、お客様から大変ご好評いただいています。自家栽培のお米も、購入した拘りのお米「女子畑米」にブレンドしてお客様にご提供しています。

Half farmer, half Yakiniku restaurant owner

I am aiming at making income from this restaurant to cover half of our living expense, and the other half I would like to cover by farming or doing something I am interested in.

Besides running this restaurant, I have been producing rice with some of my friends. I also have quite large vegetable patch in the back of this restaurant. For both I never use chemicals nor fertilizers. To my regret, I have not succeeded in raising the amount of harvest because of the lack of my farming technique. Potetoes can, however be harvested in large quantities every year. From July, when we harvest potatoes, we sell them here and receive good words for this from customers. The rice we produce is blended with the good rice produced in Hita (Onagohata rice), and is offered at this restaurant.